寄与分

被相続人の財産の増加や維持に特別貢献した場合 ―寄与分

寄与分の相談
寄与分とは何ですか。

弁護士の回答寄与分とは、相続人が被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加につき果たした特別の寄与のことをいいます。


寄与分の相談被相続人を介護した相続人は、相続で取り分が多くなるなど有利に扱われますか?

弁護士の回答相続人が被相続人を介護していたとしても当然に相続分が増えたり、相続で有利に扱われるわけではありません。

被相続人の介護を相続・遺産分割の分配で多くもらうなど評価してもらうには、介護をした相続人から寄与分の主張をする必要があります。相続人間で寄与分について合意ができない場合は遺産分割調停の中で寄与分の申立てを行う必要があります。


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長年の介護は寄与分にあたりますか。

弁護士の回答通常の手伝い・介助のレベルでは寄与分にあたらないとされることも多いです。「介護・療養看護型の寄与分」も併せてご覧ください。


寄与分の相談
介護を寄与分として認めてもらうにはどのような証拠が必要ですか。

弁護士の回答①被相続人の介護度がわかるもの(診断書、カルテ、介護認定、介護ヘルパーの利用明細、連絡ノートなど)、②介護の期間、一日の介護の時間、内容が分かるもの(介護日記など)が一般的に必要です。
これ以外にも、介護のために仕事を休んだ場合などは日付、その欠勤による減収分などを記録に残しておくとよいでしょう。


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実家の家業を手伝った場合には寄与分に当たりますか。

弁護士の回答実家の家業を手伝った場合に寄与分に当たることがあります。寄与分にあたるかどうかは相続人の家業に対する貢献度が重要です。

寄与分の算定方法

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寄与分はどのように決定されますか。

弁護士の回答以前は、家庭裁判所の調査官が聴取・調査を行っていたこともありました。しかし、現在は東京家庭裁判所では調査官による聴取・調査は行われない運用になっています。寄与分を主張する相続人の主張や寄与分に関する証拠をもとに裁判所が、寄与分の有無、寄与分の金額を決定します。

介護・療養看護型の寄与分

介護、療養看護型の寄与分はどのような場合に認められますか

1 介護、療養看護型の寄与分とは?

介護、療養看護型の寄与分とは、病気療養中の被相続人の介護、療養看護に従事した相続人に対して、その対価分を金銭的に評価して、増額される相続分を寄与分をいいます。

一般的には、単なる介護、看護では認められにくく、ハードルが高いものです。また、どんなに24時間、介護、療養看護を行ったとしても、きちんとした証明、証拠がないと認められにくいです。

2 介護、療養看護型の寄与分が認められるために必要な条件は?

介護、療養看護型の寄与分を認めてもらうのは、一般的に、

  1. 被相続人の病状が介護、療養看護が必要
    (要介護認定2以上が基準とされています)
  2. 相続人などの近親者による療養看護が必要であったこと
  3. 被相続人への相続人による介護、療養看護が「特別の貢献」にあたること
  4. 介護・療養看護に対して、無報酬か無報酬に近い状態で行われていること
  5. 相続人による介護、療養看護が相当期間に及んでいること

の5つの条件が必要です。

詳しくは、「介護、療養看護型の寄与分FAQ」をご覧ください。

3 介護、療養看護型の寄与分額はどのように計算されますか?

介護、療養看護型の場合、寄与分額としては、相続人による介護、療養看護行為について、1日当たりの日給・報酬額を決定し、介護・看護日数を掛けて、総額を計算することが一般的です。

介護、療養看護行為について、1日当たりの日給・報酬額は、介護保険における介護報酬基準を基本とします。ただし、介護・看護の資格のない相続人が行っている分、減額することも一般的です。

介護・療養看護型寄与分FAQ

介護、療養看護型の寄与分が認められるには、被相続人が介護認定で要介護度2の認定を受けていることが基準と聞きました。被相続人の介護の状況として、要介護度2はどのくらいの介護状態をいうのですか。
介護保険の要介護度2の状態(軽度の介護を要する状態です。具体的には、立ち上がりや歩行動作に支えが必要、食事や排泄を辛うじて自力でできる場合もあるが、なんらかの介助を必要な時がある、身支度や掃除などの身の回りの動作全般にもなんらかの介助や見守りが必要な状態などを言います。要介護度2の場合、認知症の割合も高いといわれています。
被相続人が長期間病院に入院していました。私は毎週お見舞いに行き面倒を看ていました。この場合にも相続人として、介護、療養看護型寄与分をもらうことはできますか。
基本的には被相続人が病院に長期入院しその期間お見舞いに行っていた程度では、介護、療養看護型寄与分は認められません。 ただし、医師の指導等に基づいて、相続人が付添介護をしていたような場合など、親族による付き添い看護が必要であった場合には、介護、療養看護型寄与分が認められることもありえます。
被相続人が長期間老人ホームに入所していました。私は毎週老人ホームにお見舞いに行き洗濯などのお世話をしていました。この場合にも相続人として、介護、療養看護型寄与分をもらうことはできますか。
基本的には被相続人が老人ホームなどの施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、老健施設など)に長期入所し、その期間お見舞いに行っていた程度では、寄与分は認められません。 ただし、医師の指導等に基づいて、相続人が老人ホームなどの施設に泊まり込み、付添介護をしていたような場合には、介護、療養看護型寄与分が認められることもありえます。
被相続人の介護、療養看護を行っていた相続人が、生前被相続人から毎月10万円の手当をもらっていました。この場合でも、相続人は介護、療養看護型の寄与分をもらうことができるのでしょうか。
介護、療養看護型の寄与分が認められるには、一般的には、相続人は無報酬またはこれに近い状態で介護、療養看護していることが必要です。毎月10万円の手当となると、無報酬に近いとはいえないため、介護、療養看護型の寄与分は認められにくいと思われます。
被相続人の介護、療養看護を行っていた相続人が、生前被相続人から毎月数万円の手当をもらっていました。手当は介護のための交通費、コインランドリーなどの経費に使っていました。この場合でも相続人は介護、療養看護型の寄与分をもらうことができるのでしょうか。
毎月の手当が数万円で、手当を介護のための交通費、コインランドリーなどの経費に充てていた場合となると、無報酬に近い状態で、被相続人の介護、療養看護を行っていたことになります。そのため、毎月数万円の手当を貰っていただけで、介護、療養看護型の寄与分は認められないことにはならないと思われます。
介護、療養看護型の寄与分が認められるにはどのような条件が必要ですか。
現在の東京家庭裁判所の運用では、一定程度の介護認定を受けている必要があります。
介護、療養看護型の寄与分を証明をするのに必要な証拠はどのようなものがありますか。
被相続人の病状、介護に関する記録が必要になります。介護認定の書類、カルテ、診断書、介護報酬記録、介護サービスの利用記録、看護・介護記録、日誌などが考えられます。
介護、療養看護型の寄与分の証明をするために、被相続人の担当の看護師や介護ヘルパーが証人になってくれると言っています。どのように証人として証言や証拠を準備すればいいでしょうか。
被相続人の担当の看護師や介護ヘルパーが、相続人がどのくらいの頻度時間でどのような介護をしていたか介護の内容について説明する陳述書を提出することが望ましいです。
介護、療養看護型の寄与分は具体的にどのように算定されるのですか。
介護、療養看護型の寄与分の算定方法としては被相続人の介護のための労働時間を介護ヘルパーの時給に換算する方法が一般的かと思われます。また、遺産の5%、10%といった具合に遺産に対しての割合で算定する場合もあります。
介護、療養看護型の寄与分が認められるには、被相続人が介護認定を受けている必要がありますか。
一般的には、被相続人が介護保険における「要介護度2」以上認定を受けているか否かが目安とされています。